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EMI

Author:EMI
4人の子どもの母で、ステップファミリーです。

これまでの子育ての経験を元に、
ママたち・パパたちの応援団をしています。

子どもは親を選んで生まれてくるようです。
そしてだれもに、生まれてきた理由があるみたいです。

尊い人生を心豊かに・・・丁寧に・・・

ウキウキワクワク・・・生きていきましょう。

~あなたに代わる あなたはいません~

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胎内記憶のリサーチをしています。 お子さまの胎内の記憶・誕生記憶・雲の上での記憶など・・・お話でも、お絵かきでも構いません。 是非、お気軽にご連絡ください。 luckyemi3580@yahoo.co.jp

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お盆

「紅林さん。これ、ほら。」
老人ホームの入居者さんの高橋さんが、自慢げに朝顔を見せてくれた。

「娘が持ってきてくれたのよ。
もっと足腰丈夫だった2年前は、花が開く瞬間を見たくて、
朝早くから観察してたの。 
そしてね、とうとう花が開く瞬間を見たの!この目で・・・。
本当にあの時の感動ったら、なかったわ! 
そしてね、その時の俳句が入選したのよ!
やっぱりいいものを創ろうと思ったら、自然と一体にならないとね!」

「わ~。どんな俳句ですか?」
高橋さんは、嬉しそうに引出しから、一冊のノートを出す。

《 朝顔の 紫ひらく しずけさよ 》

ふと、私は同じく俳句の会の先生をしていた伯母のことを思い出した。
母が亡くなった後は、近くに住んでいたその伯母が、
まるで母の代りをするように、私の話を聞いてくれていたのだった。

しかしそんな叔母も2年半ほど前に、動脈硬化により倒れてしまい、
その後、2件の病院に移った後、
介護老人健康施設に入り、長いことリハビリを続けていた。

ひとりになった伯父は大変耳が遠く、
ヘルパーさんなど 他人を家に入れるのが怖いらしい。
二人の息子も、近からず遠からずの距離にいるため、
親戚で、一番近い私が、それからというもの、
週に数回、食事の支度に行くようになっていた。

しかしここのところ、伯母のいる老人健康医療施設には行っていなかったのだ。

「句会のお弟子さんが、ここにお見舞いに来るからって・・・
久しぶりに、作った俳句を見せてくれてくれたんだよ!」
前の日に、伯父は嬉しそうに私にそんな伯母のことを伝えた。 

「それからね、千賀子によろしく、って言ってたよ。」

千賀子によろしく・・・か。
・・・今度の日曜日こそは、かぼちゃを煮て持っていこう・・・。

かぼちゃは伯母の大の好物で、伯母のところに度々持っていくようになってから、
私の腕前は上がっていったのだった。

施設にいる、殆どの方が認知症なのに、寝てばかりの伯母はまるで呆けていない。
漏れ聞こえてくるニュースを聴いて、私より、社会情勢を知っていたし、
時には、
「千賀子。 心理学なんていうのは、絶対に勉強してはいけないよ。
自分が苦しくなるだけだからね・・・。」
と、そんなことも言った。

何もそんな話していなかったのに、伯母はすべてをお見通しのようだった。


次の日の朝早く、家の電話がなった。
朝8時前に自宅に架かってくる電話は、直ぐに不吉なことを案じさせた。

当たってしまった。

伯母の急死を知らせるものだった。
腹部にあった大動脈瘤が 急に夜中に破裂してしまったそうだ。
眠るように、あの世へひとりで旅立ったそうだ。

直ぐに伯母のところへ向かった。
抜け殻になった遺体は、伯母の念願だった自宅に着いていた。

・・・何で急にひとりで逝っちゃうのよ!・・・

私は泣き声に、伯母は今にも答えてくれそうなほど、
とても穏やかな顔をしていた。

せめてもう少し待っててほしかった・・・。
そして、もう一度、かぼちゃを食べて欲しかった・・・。
・・・でもそれも、やはり私の自我なのだろう・・・。

葬儀が始まった。
戒名の文字に 私の名前の一文字を見つけた。
少しだけ、何だか勝手に救われたような想いがした。

「これでメンツが揃ったって、今頃あの世で麻雀楽しんでるよ・・・。」
と笑う伯父は、風呂場で吠えるように泣いていた。

そんな話を夫にすると、
「慟哭だな・・・」とひと言った。

突然死・・・
妻に突然先立たれたときの様子を
夫はしみじみ思い出しているように感じた。

そう言えば、次女の実母である夫の先妻も、
お盆に亡くなっていた。
お盆は霊が呼ぶとよく言うが、本当みたいだった。

葬儀という場で、いろいろな人間模様を観察しつつ、
不思議な そして長い時間が流れた。

告別式の日は、夕方から、
私の義父の米寿のお祝いをすることになっていた。

告別式が終わると義父の家へ急いだ。
しばらくしてから、真実を話すと、

「・・・そうか・・・。伯母さん、亡くなってしまったか・・・。
これから、伯父さんが大変だな・・・。
俺だって、今でこそ、早朝から散歩したりしているけれど、
7回忌が終わるころまでは、やはり、孤独との闘いだったよ。
女の人は、結構平気みたいだけど、男は案外、弱いもんだよ・・・。」

と言って笑ってみせた。

・・・そうだったんだ・・・

それまでの義父のカラ元気を 私たちはあまり知らないでいた。
いや、今だって、独りはやはり寂しいだろう・・・。
それを自由にさせて貰っている 深くて大きい義父の愛をしみじみ思った。


数日後・・・先日の老人ホームの高橋さんが、
「紅林さん。俳句にしろ何にしろ、文はね、短ければ短いほど、深みが出てくるのよ・・・。
読み手にね、イメージして貰うのよ。それが深みを醸し出すのよ・・・。」

はぁ・・・

「そう言えば、この間伺った朝顔の花が開く瞬間ですが・・・
物の本に書いてあったのを ふと思い出したんですけど・・・
小鳥も日の出前の24分前に鳴き出すそうなんですよ・・・。」

寺山心一爺先生の「がんが消えた」に書いてあった、
一夜漬けのような薄っぺらいそんな愚かな私を
高橋さんは 優しく微笑んで、聴いてくれた。


まるで、亡き伯母が 微笑んでくれているようだった。


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